全国JRのチケットで「フルムーンパス」というチケットがあるのはご存知でしょうか?
「名前は聞いたことがある」という方や、「シルバー(高齢者)層が使えるチケットじゃないの?」という方も多いと思います。
このチケット、正式には「フルムーン夫婦グリーンパス」といい、夫婦お二人で全国JR路線が一定額で一定期間、乗り放題というもの。中には「それなら『青春18きっぷ』と同じじゃないか」と思われる人もいるかと思いますが、ところがどっこい、中身が大きく違うのです。そこで、2つのチケットの違いを簡単にご説明します。

まず「青春18きっぷ」です。
これは、全国のJR線の普通&快速列車に乗り放題のフリーパスで、「1日乗り放題」を5回分(5日間分)も楽しめ、価格は12,050円というお得なチケットです。よく耳にするのは「青春18という呼び名から、使える年齢制限があるんじゃないの?」という疑問。ところがこのチケット、青春18と名がつきながら、まったく年齢制限がなく、小人も学生も大人も使えて、誰が買っても同額の12,050円なのです。言うなれば、青春時代に抱く「旅心」に応えるチケットであり、旅心があれば年齢制限はないということなのでしょうね。

さていよいよ本題の「フルムーン夫婦グリーンパス」です。
これは「青春18きっぷ」と同じく、全国JR路線が一定期間、一定額で乗り放題というものです。ただし、大きな違いがいくつかあります。
まずひとつめは、「夫婦二人で使用するチケット」だということ。つまり夫婦二人がペアで移動するためのチケットである点です。そのため、購入価格も二人分を合わせての金額になります。

次の違いは利用できる列車です。これが一番大きな違いかもしれません。
なぜなら、冒頭でも述べたようにこのチケットの正式名称は「フルムーン夫婦グリーンパス」であり、この呼び名の通り、全国JRの「グリーン車」が一定期間乗り放題なのです。つまり「青春18きっぷ」は、普通列車と快速列車に限定され、グリーン車はもとより、指定席にはきっぷとは別に指定券が必要ですし、何と言っても特急扱いの「新幹線」が利用できないということです。
それに比べ、「フルムーンパス」は、全国の新幹線(東海道山陽新幹線【のぞみ】と、九州山陽新幹線【みずほ】は利用できません)が利用できるため、北海道から九州まで長距離の移動がグリーン車(指定券込み)で超快適にできるのです。

3番目の違いは、利用可能年齢です。
これも冒頭で述べましたが、「シルバー層が使えるチケットじゃないの?」と思われている方が多いと思いますが、実は、夫婦合わせて88歳以上が利用可能。単純計算すれば44歳同士の夫婦ならOK、また50歳と34歳の夫婦でもOKなのです。何も65歳以上の高齢者夫婦のためのチケットではないんですね。

4番目の違いは料金です。
「フルムーンパス」は、5日間・7日間・12日間の3種類ありますが、「青春18きっぷ」が5日間ですので、5日間で見た場合、フルムーンパスの場合、座席指定券込みで84,330円(7日間:104,650円、12日間:130,320円)とちょっとお高い印象が否めません。でもこれは夫婦2人あわせての料金ですし、例えば東北新幹線で東京・新青森間(片道グリーン車122,380円・座席指定券込み)の往復ならば、夫婦二人で89,520円という計算ですから、東京・新青森間を「はやぶさのグリーン車」で往復すれば元が取れる計算ですね。これを高いとみるか、超お得とみるか、果たしてあなたはどうお感じですか?

5番目は年間の利用期間です。
「青春18きっぷ」にも利用期間制限があり、春:31日~410日(220日~331日)、夏:720日~910日(71日~831日)、冬:1210日~110日(121日~1231日)となっていますが、「フルムーンパス」の利用期間は10月から翌年6月まで(年末年始、3月下旬~4月始の年度末・年度始期間、5月の大型連休期間などは利用不可)という規定であり、9カ月間は利用可能。つまり、夏期間(7~9月)と年末年始・ゴールデンウィークというJRの繁忙期以外で、秋・冬・春の行楽シーズンにフル活用できる便利なチケットなのです。 

「フルムーン夫婦グリーンパス」のことをもっと詳しく知りたい方は、本サイトの下記コンテンツをご覧ください。

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