古から日本人の「庭」に対する想いはことのほか大きく優雅です。世界を見ても、「庭園」の美と規模が高く評されるのは、「日本庭園」と、英国の「イングリッシュガーデン」くらいではないでしょうか。

国内には「庭園・名園」を評される「庭」がいくつもありますが、中でも規模や優雅さ、あるいはその機能美などで国内ベスト3に上げられる「日本三名園」があります。それが、「偕楽園(茨城県水戸市)」「兼六園(石川県金沢市)」、「後楽園(岡山県岡山市)」です。

三園ともに江戸時代に造営された池泉回遊式の大名庭園であり、この「日本三名園」には日本庭園における他の形式である枯山水や露地(茶庭)など、池泉回遊式以外の形式のものは含まれていません。「日本三名園」という言葉がいつ頃から使われ始めたのかは不明ですが、文献上では明治32 (1899)発行の「日本三名園之一 後楽園新圖」に既にこの言葉が使用されているとのことです。

それではそれぞれの名園について、もう少し詳しくご紹介しましょう。

 

  • 偕楽園(水戸市)

まずは水戸市の「偕楽園(かいらくえん)」です。

「偕楽園」は、梅の庭園として知られています。1842年に水戸藩9代藩主・徳川斉昭公が、領民の休養の場として造園しました。偕楽園という名前は、「古の人は民と偕に楽しむ、故に能く楽しむなり(昔の人は、王も民もともに楽しんだ。ゆえに喜びも一層だった。の意)」という、中国の古典『孟子』の一節から名づけられています。13haにおよぶ広大な園内には約100品種3,000本もの梅の木が植えられ、毎年2月中旬~3月下旬に「梅まつり」が開かれます。梅の他にも桜、つつじ、秋には萩、初冬には二季咲桜と四季折々の花が咲き、これらを通して眼下に広がる千波湖を望む景観は絶景の一言です。

偕楽園へアプローチするには、JR水戸駅から歩いても行けますが、タクシー利用なら10分以内で到着します。

 

  • 兼六園(金沢市)

次に金沢市の「兼六園(けんろくえん)」です。

「兼六園」は江戸時代の代表的な大名庭園です。加賀藩の5代目藩主・前田綱紀が建てた別荘の周辺を庭園としたのが兼六園の始まりと言われています。昭和60年(1985年)には国の特別名勝に指定。これは庭園の国宝とも言える最高の格付けです。2009年には『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン 』でも最高ランクの三つ星を獲得しました。庭園の敷地は114千㎡と東京ドームの2倍以上の広さを誇り、園内のいたるところで美しい景観を楽しむことができ、季節ごとに庭園内をライトアップする「四季物語」も人気です。このように「兼六園」は、四季折々の美しさが楽しめる庭園として、季節を問わず、全国や世界各国からの観光客が訪れます。

「兼六園」へのアプローチはJR金沢駅から歩くと30分程度かかります。面倒だなと思う方は、金沢駅東口の6番乗り場から「兼六園シャトル」という観光用のバスに乗る方法もあります(20分間隔で発車)。もちろん金沢駅からのタクシー利用でも10分程度です。

 

  • 後楽園(岡山市)

最後は岡山市の「後楽園(こうらくえん)」です。

「後楽園」は約300年前に岡山藩主・池田綱政が安らぎの場として造園しました。その子・継政は能舞台周辺の建物を改築し、園内中央に唯心山を築き、その麓に水路を巡らせ、ひょうたん池を掘らせました。こうした改変で庭園の回遊性が備わりました。そのため、園内は広い芝生地に池や築山、水路など、歩きながら移り変わる景色を眺めることができる回遊式庭園で、昭和27年には特別名勝に指定され、歴史的文化を後世に伝えています。また、『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン 』で三つ星を獲得したことで世界的に知られるようになりました。現在も、江戸時代のおもかげを伝える大名庭園として国内外から多くの観光客が訪れます。

 

ところで国内には、この三名園に負けない規模や美しさを誇る庭園がいくつかあり、その代表格としてあげられるのが、「栗林公園(りつりんこうえん/香川県高松市)」「足立美術館(島根県安来市)」「桂離宮(京都府京都市)」です。

それはさておき、ご夫婦で「日本三名園」を4泊5日間の日程で全部堪能する欲張りな旅をしてみてはいかがでしょう。

「え? たった5日で全部見られるの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。でもご安心ください。新幹線のグリーン車をフル利用し、費用的にもそれほど無理なく、快適な移動で「日本三名園」を巡るプランがあるのです。

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